20、30代の若い世代から罹患のリスクがある子宮頸がん。子宮頸がんは、女性特有の臓器である子宮の頸部(入り口の部分)にできるがんだ。進行したCIN(がんの前段階)からIIB期までが手術の適応となり、子宮頸部円錐切除術や子宮全摘出術がおこなわれる。妊娠を望む場合に適応される術式もある。さまざまな面を考慮し、選択したい。
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子宮頸部にできる子宮頸がんには、がんになる前段階の「子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)」と呼ばれる前がん病変(異形成と呼ばれることも)がある。CIN1、2では自然治癒や、進行しない場合もあるため、一般的に経過観察がおこなわれる。積極的な治療の対象となるのは、CIN3からだ。
がんと診断がつけば、進行度やがんの種類などを考慮して、手術、放射線治療、薬物療法から治療法が選択される。
手術の適応となるのは、基本的にIIB期(がんが子宮頸部の周辺組織に広がっている)までとされている。
CIN3、またはIA1期(がんが子宮頸部に限られ、深さ=浸潤が3ミリ以内)で子宮を残す希望がある場合には、「子宮頸部円錐切除術(以下、円錐切除術)」が適応される。子宮頸部の病変部分を円錐状に切除する方法で、子宮頸がんの手術のなかでは、最も切除範囲が小さい。経腟的(腟からアプローチする)におこなわれるため、開腹の必要はない。多くは腰椎麻酔で、切除時間は30分程度。入院は病院によって異なるが、3~4日くらいですむ。
切除した組織は病理検査をおこない、(1)切除した切り口(断端)にがん細胞があるかどうか(陽性・陰性)(2)がんの浸潤が3ミリ以内か(3)がん細胞が血管やリンパ管に入り込んで(脈管侵襲)いないかなどを調べる。
たとえば断端陽性(がん細胞が切り口にあって、それ以上に病変が広がっていることが予測される)の場合や、がん細胞が3ミリよりも深くまで入り込んでいると判断された場合には、子宮全摘出術を考慮することになる。一方、断端陰性で浸潤が3ミリ以内、脈管侵襲もなければ、その後は経過観察となる。
このように、円錐切除術はCIN3、IA1期の治療であるとともに、がんの進行期決定にも不可欠な手技といえる。