外食、商品、引っ越し――。世の中にはレビューをもとにした「スコア」にあふれている。そのスコアを信じて、購入や利用するか決める人も多い。利用者の心理に潜むものとは。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号から。
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何らかの行動を起こすとき、「スコア」を重要視する人が少なくない。開設16年になる食べログは昨年12月の総ページビュー(PV)が15億5626万、月間利用者数が約1億1113万人に上った。「行った後にスコアを確認して、自分の感覚とすり合わせることがよくある」(50歳男性)という人も。そういった「なんでもスコア化」の層に向けて、スコアをチェックできるサイトやアプリが次々に登場している。マンションの口コミサイト「マンションノート」はマンションやその周辺の環境のスコアを計11項目掲載し、不動産サイト「SUUMO」は引っ越し業者をスコア化する。
しかし、こういったスコアに敏感な人もいれば、全く無頓着の人も。その差はどこに?
「精神医学的には、新奇性追求、損害回避、報酬依存という、パーソナリティー傾向が強い人とも解釈されます」
こう話すのは精神科医の宗未来さん。新奇性追求、損害回避、報酬依存はいずれも、米国の精神科医ロバート・クロニンジャー博士が確立した、パーソナリティー分類の中でも「遺伝的影響の強い気質」と呼ばれるものだ。
新奇性追求が強い人は、好奇心旺盛で新しいものが大好き。損害回避が強いと、よく言えば慎重で、悪く言うと臆病だ。報酬依存が強ければ、他人の評価を行動指針として頼る傾向が強い。宗さんは言う。
「新奇性追求が強く損害回避も強い人は、新しいものに飛びつきたいが、失敗はしたくない。サイトやアプリなどの高スコアは、新奇性追求にも働きかけるし、損害回避にも働きかける。また、行動後にスコアを確認したがる人もいます。これは、自分が抱いた感想を事後に他人のものと照らし合わせ、自身の行動の正しさを確認したいから。それによって強い報酬依存が満たされるのではないでしょうか」