大谷の報道が米メディアでも連日のように取り上げられている今の様子は、大谷がメジャーデビューを果たした2018年のとき以上にも見える。例えば、「飛距離○○mのホームランを放った」や「打球速度は○○kmだった」といったプレーに関するものから、ファンや他の選手へ対応など、日によっては普段ニュースにならないような些細なことですら記事になっていることもある。打者・大谷の評価は最高潮に達しているといえるだろう。
しかし、米メディアの全てが大谷を評価しているわけではない。特に投手としては、若干の不安点があることも現地のメディアは指摘している。前出のセルナ記者も「制球力にはもう少し期待したいです」と釘を刺す。特に大谷の与四球の多さが気になっている模様だ。米メディアがよく参考に使う9イニングでいくつ四球を与えているかを示す指標で見ると、大谷の記録は8.6 BB/9だ。これはほぼ毎イニングに1回は四球を与えている計算となっている。実際の成績上でも大谷はここまで13回2/3を投げて、13与四球を与えている。また、大谷は与四球によって自らピンチを招く場面もあった。例えば、今季投手として初戦の4日の試合では4回と5回に、続く20日と26日の試合では初回に連続で四球を与えている。大谷は先発した試合後、「0点ですね」や「5点くらい」と自らの投球を厳しく評価しており、毎試合制球力の向上に取り組んでいる。
「先発機会が増えれば増えるほどコントロールは戻るはずだ」とセルナ記者はいうが、それもなかなか実行できない状況にもある。前述の大谷の制球難のほとんどは、右手中指にできるマメが原因だ。そして、大谷のマメはフォーシームを投げる時に起こっていると現地メディアは報じている。大谷のフォーシームは100マイル(約161キロ)を超え、強力な武器の一つだ。伝家の宝刀ともいわれているスプリットとの組み合わせで、打者から空振りを奪う場面を幾度となく目撃してきた。事実、大谷は9イニングでいくつ三振を奪っているかを示す指標で見ると15.1 K/9という高い数値を出している。そんな魅力溢れるフォーシームの多投ができなくなることは、大谷だけではなくチームとしても是非とも避けたい事態であろう。しかし、エンゼルスはマメに対する有効な治療法をいまだ見いだせていない。