多くの会社で終身雇用が崩れつつある中、40代以上の世代でセカンドキャリアを目指す動きが活発になってきている。転職したり起業したりとそのケースは様々だが、独立する場合には、その前段階の準備が重要になってくるようだ。

 パソナテックを3月に退職して人材コンサルティング会社を起業した恒広訓子さん(42)も、準備が奏功した。辞める1年半前に退職届を出し、上司と相談しながら、1年間、独立後の営業活動も並行させた。その結果、起業直後でも会社員時代の収入の7割を確保できた。

 シングルマザーの恒広さんは、母としての働き方を考えたこともセカンドキャリアを選んだ理由だ。ベビーシッターに頼りながら、残業もいとわず、管理職として働いてきたが、思春期間近の娘ともっと向き合ってあげたいと考えるようになった。起業後は自分のペースで働けて、娘との時間が増えた。今は、スケジュール帳の「空きスペース」を埋めようとしてしまう自分を、必死に制御している。

『人生が変わる2枚目の名刺』の著者で、自身も民放キー局に勤めながらセミナー主催などの副業を行う柳内啓司さんは「パラレルキャリア」を勧める。

「突然独立するのは危険。会社に勤めながら、副業で自分と家族が毎日ラーメン程度は食べられる『ラーメンフェーズ』に入ったら起業のサインです」

AERA 2013年6月3日号

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