水野美紀さん
水野美紀さん
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イラスト:唐橋充
イラスト:唐橋充

 42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から3年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回はちびから出題され続けるクイズの奥深さと、正体がわからないごほうびについてお届けします。

【唐橋さんとちびのクイズは?】

*  *  *

 近所の公園でちびがブランコを漕ぎたいというので、背中を押してやっていた時のこと。

「クイズでーす」

 と、唐突にクイズが始まった。

 3歳児の考えるオリジナルクイズとはどのようなものか。多分、クイズの意味もよく分かっていないと思うが。

 姪っ子たちが私にクイズをたくさん出してくるのを聞いていて、真似したくなったに違いない。

 ちなみに姪っ子たちのクイズは、

「世田谷区で去年一年間に発生した火事の件数は?」

 というガチな知識を必要とするものから、

「ある男が、公園に足を運び、頭を抱えていたら、おまわりさんにつかまりました。なぜでしょう?」(答え:男はバラバラ殺人犯)

 という恐ろしすぎやしませんかと思うなぞなぞだったり、相当難易度の高いものだ。

 はたしてうちの子の繰り出すクイズとは。

「えーと、えーと、」

 一生懸命考える我が子の背中を、私はリズミカルに押してやる。

 小さな背中が遠ざかっては近づいてくる。

「えーと、赤いものはなんでしょうか!」

 なるほど。赤いもの。

 世に無数にある赤いもの全てが答えになりうる、心の広いクイズ!

 しかしここは、我が子が知っているもの、さらに、つい最近目にしたものに絞って考えるべきだろう。

 もしくは今、視界に入っているものか??

 いや、今、ちびの視界の中に、目立った赤いものはない。

 おもちゃ、絵本の絵、食べ物……そうだ! 今朝食べたあれか?

「トマト!」
「せいかいでーす」

 やった! 正解だ。

「じゃあ、ごほうびがありまーす」
「なんですかー」

 相変わらず背中を押しながら私は問う。

「おしりからでますよー」
「え」
「ぶりぶりぶりーーー」
「……」
「とってくださーい」
「あ、はい」

 背中を押す瞬間に私はお尻にタッチして、見えないごほうびを手にする。

「かべにべちゃってやるやつですよー」
「……うんちですか?」
「うんちではありませーん」

 おしりかぶりっと出てきて、壁にべちゃっとやるやつだが、うんちではないそうだ。よかった。

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「またクイズでーす」