入試広報部の担当者はこう話す。コロナ禍で経済情勢が悪化するなか、「在学生に限らず受験生にも支援を広げる必要がある」と判断。共通テストを利用した検定料の免除に踏み切った。来年以降も続けるか、現在検討中という。

 東京都市大も前年比99%と健闘した。入試センターの小澤亮賀氏は「昨年後期から多くの授業を対面型に切り替え、オンラインでも配信した。理系大学の場合、実験・実習は必須。大学生活がきちんと送れる安心感を受験生にもってもらえたのでは」と分析する。

 入試制度の変更が志願者減につながったとみられる大学もある。一部学部の一般選抜で、共通テスト受験を必須にした青山学院大は、全体の実志願者数が前年の75%に。入試課担当者は「入学定員管理の厳格化や入試制度の変化を受けて安全志向が高まるなか、コロナ禍の大都市で学ぶ不安や経済的な不安も加わった。受験生が出願校を慎重に絞り込んだことがうかがえる」と指摘する。

 前年比78%となった関東学院大。アドミッションズセンター担当者は「ボーダー得点を引き上げた影響で昨年度、入試倍率が上がり、敬遠される傾向が強まった」と見ている。

 もっとも、実志願者の減少を「人気の低下」と読み替えるにはいささか注意がいる。谷本氏は「入試科目を増やすなど受験生の負荷を高める入試変更をすると、志願者が減るのはどの大学にも共通して見られる現象」とも指摘する。

 厳しい環境でも、前年並みの実志願者数を確保している大学はある。入学後の学びの環境を整え、いかに魅力を高められるかが、今後各大学にとってかぎになる。(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2021年5月7-14日合併号

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