【千葉工業大学】ロボット開発など先進領域が学べる先進工学部/未来ロボティクス学科の学生らの有志チームは、自律移動型ロボットによるサッカーの世界大会出場に向けて活動中(撮影はコロナ禍前)(写真:大学提供)
【千葉工業大学】ロボット開発など先進領域が学べる先進工学部/未来ロボティクス学科の学生らの有志チームは、自律移動型ロボットによるサッカーの世界大会出場に向けて活動中(撮影はコロナ禍前)(写真:大学提供)
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AERA 2021年5月17日号より
AERA 2021年5月17日号より

 近年、従来とは違う名前の学部が大学に次々と誕生している。全体の志願者数が減ったコロナ禍の一般選抜入試でも、前年より増えたところが少なくない。新たな学びが受験生を引きつけている。AERA 2021年5月17日号は「大学」特集。

【図】志願者数上位10大学はこちら

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 JR津田沼駅(千葉県習志野市)を降りると、ツインタワーが視界に飛び込む。駅から徒歩1分。オフィス街のような空間に若者たちが吸い込まれていく。志願者数上位10大学の中で唯一、前年から増えた千葉工業大の津田沼キャンパスだ。創造工学部と先進工学部の3、4年生はここで学ぶ。ともに従来の工学部とはひと味違う名称を持つ。

 一般選抜の志願者数は両学部とも前年比104%。コロナ禍の中、私立大全体で前年比86%だったことを考えれば、人気ぶりがわかる。創造工学部デザイン科学科4年生の吉川怜那さん(21)は言う。

「1年生から専門的な技術を教わります。その技術を使って実際のお菓子がもっと売れるための新パッケージを考えたり、ミスをなくすようなデザインの工夫をしたりと実践的に学べて、そうした中で問題解決がデザインの本質だと実感しました」

 技術やデザインを融合して、ものづくりや環境・社会問題解決に生かす学部だという。

■時代のトレンドに注目

 一方の先進工学部は、ロボット開発やバイオテクノロジーなど「先進」領域を学べる。教授の一人はこう話す。

「たくさんの大学の中から受験生に選んでもらうためには、他にないユニークネスが必要。ロボットや生命、最近では人工知能など時代のトレンドにいち早く注目し、研究してきました」

 実際、昨年は4月に同大未来ロボット技術研究センターがパナソニックと共同で技術開発したロボット掃除機「RULO(ルーロ)」が発売され、12月には同大惑星探査研究センターが観測機器のほぼすべての開発に参画した小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に無事帰還した。

 先進、創造の両学部は16年、工学部の再編で新たな工学部とともに生まれた。専門性を高めるため大学全体で学科を細分化し、300人規模の学科を100人台前半にした結果だった。同年、大学の志願者数は前年から約2万5千人増加。一方、細分化で教員の目が行き届くようになり、定期試験に落ちた学生に追試や補習も実施した。前田修作常務理事によると、この10年で5~6%あった大学全体の退学率は2%になった。

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