高畑:母にも「あんた、お茶の水に受かったんやで。あたま冷やせ」って言われました。でも母は最終的に「私は戦争中、好きなことがなんにもできなかった。あんたは、やるっちゅうたらやる子や」みたいなことを言うてくれて、猛反対する父に「お父さん、黙っとり!」みたいなことを言ってくれて。
林:まあ、いいお母さん。
高畑:そういうときは夫婦の力関係が出るんですね(笑)。母に言われて父は「じゃあ、しょうがないか」という感じになりました。
(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力:一木俊雄)
高畑淳子(たかはた・あつこ)/1954年、香川県生まれ。桐朋学園大学短期大学部芸術科演劇専攻卒業。76年、青年座入団。30代は主に舞台女優として活躍し、ドラマ「白い巨塔」(フジテレビ系)で、医学部教授の妻を演じたことで話題を集める。以来、ドラマ、映画でも幅広く活躍。「読売演劇大賞」の最優秀女優賞をはじめ、数々の賞を受賞する演技派女優としても知られる。最新出演作となる映画「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」は5月21日、全国映画館で公開予定。
※週刊朝日 2021年5月21日号より抜粋