「終活」をテーマにした映画で熟年夫婦の妻を演じた高畑淳子さん。「ごはん食べながらの芝居は日本一だと思う」と笑う高畑さんは、作家・林真理子さんと同い年。夫婦、年の差婚、若き男性との恋の妄想と話はどんどん盛り上がりました。
【剛力彩芽は「芝居の天才」? 高畑淳子&橋爪功が「カンがいい」とほめる】より続く
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林:今、小説も「夫婦、どう生きるべきか」みたいなのが売れてますけど、映画は認知症の話ばかりだから、こういう明るいのってめずらしいかもしれないですね。ネタバレになるからあまり言えないけど、後味の良い終わり方だし。
高畑:どなたかが(注:『定年夫婦のトリセツ』著者、黒川伊保子さん)、「“夫”が“彼”になる映画である」と言ってくださったんですよ。私、いい言葉だなと思って。うちの母も、最初ダンスホールで父に一目ぼれしたところから始まってるんです。母は洋裁をやってたので、父に「あんたの洋服、全部縫うてあげるわ」と言って洋服をたくさんつくったり、無職だった父に「私が食わせるわ」とかさんざん言ってゲットしたくせに、そのうち生ゴミ扱いになったわけで、やっぱり“夫”が“彼”でい続けるって、なかなか難しいと思うんです。
林:そうですよね。このあいだ、知り合いがすごく若い奥さんをもらったので、「よかったですね」と言ったら、「いや、夫婦はともに老いていかなきゃダメなんだよ」ってつくづく言ってました。
高畑:やっぱり年が同じぐらいが安心して暮らせると思います。
林:年が離れた若い奥さんだと疲れるって言いますね、みんな。
高畑:疲れると思います。林さんもそうでしょうけど、私たちだって、ときどき「見目うるわしい若い男がいたらな」と思うことがないことはないじゃないですか。でも、若い男性とずっと一緒にいたら疲れますよ、きっと。
林:でも私、池田理代子さん(漫画家)のエッセー読んで感動しちゃった。彼女いま25歳年下の人と事実婚してるんですけど、60歳過ぎたときに一目ぼれして、泣きながら告白したら「僕もあなたのことが好きです」と言ってくれたっていうんです。