尚更、セックスなどは、出家後きれいさっぱりお別れして、何の悩みもありません。
不倫も有髪の頃にあれこれ致しましたが、妻でない立場で、よその亭主と仲良くするくらいバカなことはないと、経験者としては、つくづく書き残しておくべきかと思っています。
自分の死ぬときは、たとえ締め切り最中でも、必ず枕頭に来てくれと、しつこく言われてたので、まさに締め切りの真っ最中に、京都から、わざわざ東京まで出かけたのに、いまわの際になって、本人の目の探しもとめたのは、長い間連れ添った正式の女房だけでありました。
ま、それが当然というものでしょう。
不倫などは、いっぺんくらい経験するのも面白いかもしれないけれど、こうはやってしまっては、するのがバカみたいだから、しないに限ります。
身の上相談をするのも、寂庵では、無料でずいぶん受けてきましたが、いっしょに考えて、いい答えが出るような相談は、めったにありません。
ただ、人に、聞いてもらうことで、その悩みを、客観視出来るので、ふっと自分で答えに出逢うことがあるのです。
すると、何であんなことにあれ程悩んだのかと、自分自身でバカらしくなって、悩みがすっと抜け落ちてしまいます。
一生が百年もの長さになった以上、すべてに時間をかけてゆっくり考えれば、身の上相談など、自分自身で考えて、答えをだすのにしくものはありません。
何より、「タダ」ですみますから。
ヨコオさんには、身の上相談は来ないでしょう。
アラ、来る?
どんなのか教えて!
※週刊朝日 2021年5月21日号