次に出場チームの展望にふれていこう。優勝候補に挙げられるのは、屋内コートを含めさまざまな環境でプレー経験がある石井美樹(荒井商事/湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組だ。リオデジャネイロ五輪以降、日本のビーチバレーを支えてきたトップチームはまさに『女王』として君臨。ワールドランキングでのオリンピック出場権を目指せる位置にいる唯一のチームであり、4月には約1年ぶりとなった国際大会「FIVBワールドツアー4スターカンクン大会」に出場した。3週間に渡ってバブル方式の中で行われた3大会、すべて本戦プール戦を突破し、存在感を見せつけた。
帰国後の2週間は定められた場所での練習および寝泊りする隔離生活を送っていたが、「海外にいても日本にいても隔離生活は変わらない。やることがたくさんあって、あっという間に1日が過ぎていった」と村上。大会5日前に通常の生活に戻り、万全を期して『女王』は決戦に挑む。
『女王』の対抗馬として挙げられるのは、若手の台頭として力をつけてきた鈴木千代(クロス・ヘッド)/坂口由里香(大樹グループ)組と、坂口佳穗(マイナビ/KBSC)/村上礼華(ダイキアクシス)組だ。しかし、5月初旬に開催された「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2021第1戦立川立飛大会」では、思わぬ結果に。2チームともに草野歩(パソナ)/橋本涼加(トヨタ自動車)組にそれぞれ敗退し、悔しさをにじませていた。
1回戦で敗れた坂口(佳)は、「やってきたことは間違っていないが、自分の攻撃が迷うようなディフェンスポジションを相手に敷かれて、攻撃するタイミングが遅くなりミスにつながった。最後までリズムをつかめなかった」と課題を口にした。準決勝で草野/橋本組の高さの前に屈した鈴木は、「メキシコから帰ってきて隔離生活を経験してまだ時差ボケが抜けきれず、コンディションが万全ではなかった。試合中、しんどい場面がたびたびあった」と敗因を分析。伸び盛りの2チームだけに、大会までにしっかり修正を図りたいところだろう。
これら若手の勢力をツアー開幕戦で食い止めたのは、『高さ』だった。前述した草野/橋本組と長谷川暁子(NTTコムウェア)/二見梓(東レエンジニアリング)組の2チームは、持ち味の「高さ」を発揮し、決勝進出を決めた。