逆に、隠すことで信頼を失墜させたのはスペイン王室だ。国内ではワクチンの接種対象になっていなかった50代の王女2人が、中東でひそかに接種を受けていたことが報じられ、王室への反発を招いている。

 先の山下氏は、皇室が公表しない背景についてこう分析する。 

「ワクチン接種は皇室の方々全員に関わることですが、個人情報のため、公表するためにはご本人の同意が必要です。おそらく、『公表するべき』というお考えの方と『公表する必要はない』というお考えの方がおられて、皇室としての整合性がとれないのではないでしょうか」

 宮内庁で要職を経験した人物は、ほとんど外出なさらず感染リスクが極めて低い皇族方の場合、体調によっては接種しないというご判断もあるだろう、と話す。

 一方で、別の宮内庁OBは、公表に二の足を踏む宮内庁サイドの心情をこうおもんばかる。

「とくにいまは眞子さまと小室さんの結婚問題で皇室への国民感情が厳しい。役所としても、ワクチン情報ひとつとっても神経をとがらせているのは確かです」

 仮に、接種しないという判断をした場合は、「副作用をおそれているのかもしれない」という疑心暗鬼の声が飛び交う可能性もある。逆に、接種のタイミングによっては、「まだ国民の何割しか済ませていないのに」という批判が出るかもしれない。

「個人情報という国民が理解しやすい言葉を掲げて押し通したい、という役所の心境も理解できます」(前出のOB)
 
悩み深き令和の皇室――が、しばらく続きそうだ。(AERAdot.編集部 永井貴子)

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