大河ドラマ「八重の桜」で松平容保(かたもり)役を熱演する俳優・綾野剛に話を聞いた。

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 NHKから大河ドラマ「八重の桜」の松平容保役のオファーがきたときは、歴史上の人物ですし、それを演じるのは愚かだと思ったこともありました。

 いまは「容保を愚直に生きてみたい」という気持ちです。最近は体に容保がしみ込んでいくようで、本当につらい。普通の精神状態ではできません。眉間(みけん)には力が入るし、不思議な重力がかかってきます。現場に入ると病んでいる状態ですね。まっとうに生きようとすると、体が蝕(むしば)まれるような気分です。

 私は初めての大河ドラマですが、西田敏行さんをはじめ、さまざまな方が出演していて、とても勉強になります。

 江戸幕府の将軍、徳川慶喜(よしのぶ)は二転三転どころか、何度も意見が変わる。ですが、どうしても嫌いになれない。中間管理職は大変なんだろうなと思ったりもします。

週刊朝日 2013年6月21日号