小倉記念病院(提供写真)
小倉記念病院(提供写真)
小倉記念病院の副院長で循環器内科主任部長の安藤献児医師
小倉記念病院の副院長で循環器内科主任部長の安藤献児医師

 心臓のリズムが乱れることを不整脈といい、症状によって病気の種類や治療法が異なる。週刊朝日ムック『手術数がわかるいい病院2021』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、治療数の多い病院をランキング形式で掲載している。2019年の不整脈・心不全に対する治療数が全国1位になった「小倉記念病院」(福岡県)。同院は、地域の総合病院としての役割を果たすと同時に、心臓病について全国屈指の治療数を誇る。多くの患者や医療機関から選ばれる背景や診療体制について、同院の副院長で循環器内科主任部長の安藤献児医師に話を聞いた。

【図解】ペースメーカー治療の選択の流れはこちら

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 心臓は弱い電気が流れて動く仕組みになっているが、この電気信号がなんらかの原因で乱れると不整脈が起こる。不整脈には種類があり、脈が速くなる「頻脈」の代表的な病気が「心房細動」だ。心房細動は心臓の筋肉である心筋が細かく震えた状態になることで、頻脈になってしまう。
 
 心臓の機能が低下することで、最終的に心不全になることもある。心不全は正式な病名ではなく、心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態をさす。心臓の働きがどのくらい低下しているかによって、心不全の種類や程度は異なる。

 生命の危機に直結する不整脈に「心室頻拍」や「心室細動」がある。とくに心室細動は、心筋が不規則にけいれんする状態になり突然死の原因につながる、最も危険な不整脈だ。

 危険な不整脈や重症の心不全に対し、薬物療法や心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)の治療がうまくいかない場合、「植え込み型デバイス」という機器を体内に植え込む必要がある。デバイスを体内に植え込む治療を総称して、本誌ではペースメーカー治療と呼ぶ。

 脈が遅くなる徐脈に対する「ペースメーカー」、脈が速くなる頻脈に対する「ICD(植え込み型除細動器)」「CRT-D(両心室ペーシング機能付き植え込み型除細動器)がある。ICD、CRT-Dは、どちらも日本不整脈心電学会が定めた施設基準を満たした病院のみでしか受けることができない治療だ。本誌ではICD、CRT-Dの植え込み数を取り上げている。

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