ですが、糖の過剰摂取はメタボリックシンドロームにつながります。糖質制限ダイエットは推奨しない僕ですが、全ダイエッターに推奨している“糖制限ダイエット”があります。今回はその具体的な意図について解説します。
(1)糖の過剰摂取で起こる身体の変化
脂質の摂取量が多いことが原因で発症すると考えられてきた脂肪肝や脂質異常症が、近年では糖の過剰摂取が主たる原因になっているという見方があります(もちろん、脂質の摂取量が関係ないわけではありません。特に飽和脂肪酸の摂取過多は脂肪肝や脂質異常症につながると言われています)。
体内で吸収された糖は肝臓に運ばれて処理されます。肝臓の糖の貯蔵可能量を超えると、糖は脂肪に変換されて肝臓に蓄積され、ひいては脂肪肝や脂質異常症につながるようです。ただ最近は、直接糖が脂肪肝を招くというより、その前段階で腸内環境の悪化が起こり、それが脂肪肝につながっていると考えられています。いずれにしても、糖の取りすぎは脂肪肝や脂質異常、メタボリックシンドロームにつながるため、健康のためにはやはり、糖の取りすぎには注意すべきということです。
(2)「糖」と「糖質」は何が違うのか?
さて、ここで言う「糖」が何を指すのかについて説明したいと思います。「糖質制限」というと、まずはお米などを控えようと思う人が多いのではないでしょうか。お米は糖質でもあり、炭水化物とも呼ばれますよね。混同されがちな糖質と炭水化物ですが、「炭水化物」という大きなグループの中に「糖質」が含まれていると理解してください。ちなみに炭水化物には糖質のほかに食物繊維が含まれます。そして、糖質はさらに、多糖類や二糖類、単糖類などに分かれます。この中で、二糖類と単糖類は「糖類」と呼ばれます。炭水化物→糖質→糖類と進むほど構造がシンプルで、体内での吸収スピードが速いです。少しややこしいですが、お米は炭水化物、砂糖は糖類とだけ覚えておいてください。