檜原村といえば滝。払沢の滝、三頭大滝など有名な滝も多い。
「有名な滝への問い合わせはあまりないんですが、多いのはマイナーな小さめの滝。それぞれ好みがあるようで。訊かれるのは、人がいないか、いるだけなんです」
「人がいる、いない?」
「大声で歌うんだそうです。滝の音に紛れるから、大声が出せるんだとか。でも、人がいると、やはり気恥ずかしい。電車が上を走る高架下も大声ポイントらしいんですが、電車が走っていないときは歌いにくい。その点、滝は最高だって」
東南アジアの人は滝の風が好き。日本人にとっての滝は、極上の大声スポットになっていた。
■下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(週)、「沖縄の離島旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)。