放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、家で過ごす時間がさらに長引きそうな今、おすすめのドキュメンタリー作品を紹介します。
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緊急事態宣言がさらに延長するかもとか、オリンピックどうなるんだとか、モヤモヤする話が多い中、いいかげん、家で見るエンタメがなくなってきたよと言う方に超おすすめの映画があります。Netflixの映画なんでネフリで見られます。今年のアカデミー賞、長編ドキュメンタリー賞を獲得しました。
ドキュメンタリーって聞くだけで、腰が引ける人がいるかもしれませんが、これは絶対見てほしい。「神映画」と絶賛してる人も多い。タイトルが「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」という映画。このタイトル聞いて難しそうと思ってしまうかもしれない。
これは人間と一匹のタコの友情を描いた物語なんです。ドキュメンタリーですよ。
映像作家のクレイグ・フォスターという人が、幼少期に長い時間を過ごした海に入る。南アフリカの「希望峰」ですね。激しい波の下には、水中の森のような場所がある。
そこで出会ったのが一匹のタコ。このタコのことを「彼女」と呼びます。その彼女の生態に興味を持ったフォスターさんは、毎日、そのタコに会いに行くようになるんです。
当たり前ですが、かなり人間に対して警戒する「彼女」ですが、毎日会いに来る彼に対して、徐々に警戒心を解いていく。ある時、タコが手?いや、足か?を伸ばして、フォスターさんの手に絡めてくる。「え?そんなことあるの?」と思ってしまいますが、友情が芽生え始める瞬間もすべて撮影しているのだ。タコは知能が高い生物らしい。犬や猫並みの知能を持っているのだとか。
フォスターさんとタコの「彼女」の間には、友情が芽生え、だからこその衝撃映像が目の前で繰り広げられていく。タコが体の色を変身させることが出来るとは聞いたことがあるが、本当に、岩と同じ色に同化したり、なんとフォスターさんの体の色と同化したり。