令和になって、はや3年。すでに「平成レトロ」という言葉も使われ始めた。平成後期に青春時代を過ごした記者(28)にとってなじみ深いのが、「着うた」(ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標)だ。かつては絢香の「三日月」やYUIの「CHE.R.RY」など着うたのCMソングが盛んにオンエアされ、携帯から“うた”が鳴り響くことが当たり前だった。だが、今は着うたを耳にすることは、めっきりなくなった。携帯がスマホに移行してからというもの、若者ですらデフォルトの通知音やバイブ通知で済ませるようになっている。なぜ着うたのニーズはなくなったのか? 開発者などを取材した。
【写真】「着うた」で最もダウンロードされた曲を歌ったのはこちらの4人グループ!
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2002年に登場した「着うた」は、ピークの09年には市場規模が1200億円を超え、モバイルコンテンツとして最も大きな市場を形成した(「平成24年 モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」)。だが、11年から14年にかけて、年を追うごとに半減を繰り返し(「日本のレコード産業2020」)、16年に配信サービスが終了した。
2011~14年といえば、スマホやLINEの普及が進んだ時期であり、これと軌を一にして着うたは衰退していった。なぜ、スマホに着うたはなじまなかったのか。
「さとり世代」の名付け親で、若者文化に詳しいマーケティングアナリストの原田曜平氏は、自身が管轄する「若者研究所」でアルバイト勤務する10~20代の若者たちから着うたに関する意見を聴取した結果から、次のように話す。
「ガラケー時代のSNSといえばミクシィぐらいで、やりとりでは通話やショートメールを多用していました。しかし、LINEが主な連絡手段になってからは、メールや電話の使用頻度が格段に減った。使わないなら着信音にこだわらなくていい、と気持ちの変化はあったはずです」
とはいえ、LINEにも通知機能がある。たとえば「LINE MUSIC」を利用すれば、楽曲を着信音に設定することも可能だ。だが、通知音を「うた」にする人はあまり聞かない。原田氏はその要因をこう語る。