──男性の描き方は?

「男性の描き方にしても男性監督とは大変異なっている。それが本作にも言えること。彼女らしくすべてのキャラクターを可能な限り現実に近い形で描いてほしかったからなの」

──マーベル・コミックの過去作では、ロバート・ダウニーJr.やクリス・ヘムズワースをはじめ常連キャストとの共演が大半でしたね。しかし今回は大幅に新しいキャストが加わっています。彼らとの共演の感想は?

「素晴らしいわ。こんな最強のキャストと共演できて。メリーナ役のレイチェル・ワイズはずっと共演したかったの。内側も外側も美しい人。正確かつ効果的な演技をするの。デヴィッド・ハーバーは堂々として貫禄があり、アレクセイという、涙を誘うような優しさと人を震えさせるほど怖い面の両方を持ったキャラクターをつくりあげてくれた。エレーナ役のフローレンス・ピューは神秘的かつソウルフルな俳優で、魅力的な瞳と美しく繊細な面を持っていて、彼女の演技には感動した。『ブラック・ウィドウ』の世界は、『アベンジャーズ』に出てくるような悪者の世界でもなく、これまで出会ったことのないキャラクターが続々登場する新境地なの。特に設定がソ連という点でも。そのあたりを楽しんでもらいたいわ」

(取材/文 高野裕子[在ロンドン])

週刊朝日  2021年6月11日号