上皇ご夫妻の長女、黒田清子さんのときは、慶樹さんが納采の儀で納めた絹の巻物を純白のロングドレスに仕立て、挙式で身に着けた。

 高円宮家の三女、絢子さんに贈られた巻物も、お相手の守谷さん親子の思いが込められている。披露宴は、皇族方や各界要人を招いての晩さん会。絢子さんはピンクのシルク地と白いチュールレースをあしらったドレス姿だった。
 
 ピンクのドレス生地は、NPO法人「国境なき子どもたち」の専務理事だった守谷さんの母の故・季美枝さんが生前に選び、団体から宮家に贈られたカンボジア製のシルク生地だったが、美しいレースは、守谷慧さんが納采の儀で贈ったものだ。

 皇族女性の結婚は、相手が相応の財力や社会的な立場を持っていることが前提で行われてきたのが現実だ。

「小室さんの母親の元婚約者に対する400万円を越える金銭トラブルが解決していないこと。さらに、小室さん自身が留学の滞在費などの費用を、パラリーガルとして所属する法律事務所に借りている身です。そうした現状を考えると、数百万円に及ぶと思われる儀式を無理に行う状況ではないのは明らかです」(皇室ジャーナリスト)

 また、小室家の場合「使者」となるにふさわしい人物を立てられるかという問題もある。

 納采の儀や結婚式の前に執り行われる「告期(こっき)の儀」では、小室家からモーニングで正装した使者を立てて秋篠宮邸を訪問し、納采の品を納める必要がある。これも、親族とのつきあいがほぼ絶縁状態にあるといわれる小室家にとって、簡単なことではないと見られている。

 そもそも、皇族の結婚には、なぜこのような複雑な決まり事あるのだろうか。 

 近代皇室の結婚に関する儀式は、1910(明治43)年に制定された「皇室親族令」に基づいており、戦後に同令が廃止されてからも、ほとんどこの形式に沿っている。

 当時の皇室において、皇族女性の結婚相手といえば皇族か華族。皇室親族令には、<内親王臣籍ニ嫁スル場合ニ於ケル式 納采ノ儀>として、内親王が皇族ではない臣籍と結婚する場合の納采の儀について次のように定めていた。

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皇室親族令に定められていた「親族の使者」