「大童(おおわらわ)」
→戦場で童のように髪を振り乱して奮戦する

 武士は戦場で通常は兜を被っていますが、奮戦するうちに兜がとれて髪がばらばらに乱れることもあったといいます。そのザンバラ髪が、髪を束ねていない童のように見えることから、戦場でなりふり構わず奮戦する様子を「大童」というようになりました。そこから転じて、夢中になって取り組むことや、一生懸命努力することの意味になりました。

「身から出た錆(さび)」
→手入れを怠ったために刀身に生じた錆

 ここでの「身」とは、刀身のことです。刀身は刀のうちの鞘に収まる部分で、いわば切るための中心部。手入れを怠り、刀身が錆びてしまうと刀の役割を果たせません。刀に錆が生じたのは自分の怠慢が原因なので、転じて自分の犯した悪行のために自ら苦しむことの意味になりました。

「保障」
→敵の攻撃を防ぐための城や砦のことだった

 中国ではもともと、「保」が砦や小城を表し、「障」が隔てて防ぐことを表していました。つまり、「保障」は戦いで敵の攻撃を防ぐための城や砦のことだったのです。のちに戦場以外の場でも広く用いられるようになり、責任をもって人の立場や権利を保護する意味になったといわれています。

「出張」
→仕事の遠出ではなく戦場に行くことだった

 もともとは、戦場におもむくことを「出張(でば)る」といいました。戦場に出て陣を張ったことがその由来ともいわれています。室町時代の後期には「しゅっちょう」と音読みもされるようになったといわれ、江戸時代の後半には戦いと関係のないことにも用いられるようになったといいます。そして、明治時代に官庁用語として「しゅっちょう」が定着したとされています。

「駆け引き」
→戦場で馬を駆けたり引き揚げたりする

「駆け」は馬を駆けて前進させることで、「引き」は馬を退かせることとも手綱を引くことともいわれ、いずれにしても退却することを表します。つまり、戦場で臨機応変に兵を進めたり、後退させたりする意味です。そこから、交渉や試合などで自分が有利になるようにことを運ぶという意味になり、商売やスポーツなどさまざまな場面で用いられています。

文/美和企画
※『みんなの漢字』2015年11月号から

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