小学校6年間で習う漢字は1026字――。タブレット教育が進み、漢字を書く機会が少なくなっているいま、漢字はどのように学習すればよいのでしょうか。文字や筆順の教育を専門とする広島大学大学院の松本仁志教授に話をうかがいました。※前編<漢字の書き順、「昔と変わった」は本当? 「飛」の書き順が最も検索された理由とは 専門家に聞く>から続く

MENU 漢字が苦手な子はどう学習したらよい? 大学入試で「漢字の書き取り」はほとんどない 小学1年生で「丁寧に書く」習慣をつけよう

漢字が苦手な子はどう学習したらよい?

――漢字を書く機会が少ない大人は、「あれ?どう書くんだっけ?」と忘れることもあります。今はタブレット教育の導入によりかつてのアナログ時代と比べると子ども時代の手書きの機会が減っていますが、小学生には漢字をどう学習させればよいでしょうか。

 大人が「読めるけど書けない」と漢字を忘れてしまうのは、漢字を書いていないから。アウトプットする機会が少なく、運動記憶がさびついているのです。

 漢字はぱっと見ただけでは覚えられません。知らない漢字を見せられ「30秒後に再現してください」と言われても難しい。子どもたちは頭だけでなく体で学習するという側面が必ずあります。漢字学習は手を動かして覚える、つまり運動記憶を頭の中に入れておくとアウトプットしやすくなります。

 書く練習は紙とノートでなくても、タブレット上で書いても空(そら)書きでもいいんです。

――漢字の力は国語だけに留まらず教科をまたいで求められますが、苦手な子にはどう学習させるとよいですか。

 間違えやすい漢字については、見て書いて覚えることに加えて声に出して読む、替え歌を作るなど記憶を何層にも強固にする方法もあります。

 漢字学習は積み重ねです。中学生が漢字テストで全然点数が取れない場合、どこの学年の学習で止まっているかを見極める必要があります。調べたら小学2、3年生の学習で止まっていた、というパターンは結構あるんです。家庭で見極める場合は、遡っていろいろな学年のドリルをやってみる。どの学年からつまずきが多いかが分かったら、そこから学習を穴埋めしていくと、読めるものも広がり世界も広がり、学力がぐんと上がります。中学生までの間にこれをやると有効です。

 苦手にも種類があって、ディスレクシア(読み書き障害)の子たちは別のアプローチが必要です。

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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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