「言い方は悪いけれど新卒採用で“売れ残った学生”や、最初の就職に失敗してすぐ辞めた“ダメな若者”をどう企業に売るか、というニュアンスで考え出された戦略だったようです」

 そのイメージはなかなか払拭(ふっしょく)されることはなかった。先のUZUZが創業した12年ごろも、第二新卒の扱いは、まさに「すぐ辞めたダメなやつ」だった。

 実はUZUZの創業者(現在は退職)も、新卒で入った会社を9カ月で辞めた。留学経験もある「就活強者」で、学生時代は大手企業を中心に10社以上から内定をもらった。だが第二新卒になると、再就職先が全く見つからなかったという。

■3年で3割が辞める

 創業メンバーでもある川畑さんが振り返る。

「当時、新卒でもなく中途とも言えない第二新卒は多くの企業で門前払いでした。1度辞めただけで埋められない『差』があった。同じようにその差に悩む同世代の若者が大勢いました」

 厚生労働省の調査によると、大学を卒業後3年以内に辞める人たちは常に3割前後いる。不況の時は減るものの、昔から一定程度は存在するのだ。そんな事情もあって、これまで就活戦線が「売り手市場」になるたび、第二新卒にも注目が集まってきた。

 だが、それはあくまでも新卒の「代わり」だった。思うように新卒が採用できないから、第二新卒に触手を伸ばす。「第二新卒歓迎」と募集を出すのは新卒に人気がない中小企業ばかり──。そんな状況が、ここ数年ジワリと変わってきた。

 IT系人材サービス大手・テクノプロの社内カンパニー「テクノプロ・デザイン社」は、16年ごろから第二新卒に着目してきた。19年度は第二新卒だけで約80人を採用。今年はコロナ禍の影響で絞ったものの、来年度も100人近い第二新卒の採用を予定しているという。

■ハングリー精神が魅力

 採用担当の齋田龍さんは言う。

「短期間とはいえ就業経験があるので、どんな人か見極めやすく、優秀な人材を採用しやすいと感じています。求めるのは課題解決力のある人。将来のリーダー候補は30代になってからでは採用が困難です。そうした人材を若いうちに確保し、育てていきたいと考えています」

 第二新卒で採用した社員のなかには、入社3年で3~5人ほどの社員を率いる現場リーダーを任される人もいるという。齋田さんは、第二新卒人材には「ハングリー精神を持っている人が多い」として、こう続ける。

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