もちろん一定額は自分へのご褒美として、趣味など今の消費に使うのも「あり」だ。

“恩恵”ではほかに、健康保険に加入しているので、病気やケガで働けなくなった場合に「傷病手当金」をもらえる。過去1年間の平均賃金の3分の2が最長1年6カ月間出る。病気を想定するのは縁起でもないが、万が一のときの「強い味方」だ。

 将来の年金(老齢厚生年金)はどれぐらい増えるのか。

 老齢厚生年金額は収入金額と加入期間で決まる。年収(120万~240万円)で5~20年働いた場合に増える年金額を試算してみた。収入レベルを考えれば劇的に増えるわけではないが、それでも10年以上働くとそれなりの金額になってくる。

 毎年来る「ねんきん定期便」の年金見込み額に、表を参考に自分が考えている共働きの姿(年間給与、働く年数)をあてはめれば、将来の年金額が予想できる。

 もう一つ、年金制度では1991年3月まで学生は任意加入だった。このため今の50代以上では20歳以上の学生時代に年金に未加入で、老齢基礎年金を満額受け取れない人がいっぱいいる。そんな人が60歳以上で厚生年金に加入して働けば、その満額に満たない分を埋められる。

 老齢基礎年金はそのままだが、厚生年金から「経過的加算」と呼ばれる年金が支給されるからだ。詳しい説明は省くが、老齢基礎年金は20歳以上60歳未満で1年加入すると年金額が約1万9500円増えるのに対し、経過的加算も60歳以上の1年加入でほぼ同額増えるのだ。

 仮に浪人していたりして未加入期間が3年ある人が60歳以上で3年働けば約5万8600円も年金額が増える。金額からすると、1年で「月収10万円で10年」働いた分の年金額に匹敵するから、未加入期間がある人にはお勧めだ。(本誌・首藤由之)

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週刊朝日  2021年7月2日号より抜粋

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