北村有起哉(きたむらゆきや)/ 1974年生まれ。東京都出身。98年に今村昌平監督「カンゾー先生」で映画デビュー。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍。近年の主な映画出演作は、「ヤクザと家族 The Family」(2021年、藤井道人監督)、「すばらしき世界」(21年、西川美和監督)など。公開待機作に「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(23年、内田英治・片山慎三監督)、「有り、触れた、未来」(23年、山本透監督)。(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/石邑麻由 スタイリスト/吉田幸弘)
北村有起哉(きたむらゆきや)/ 1974年生まれ。東京都出身。98年に今村昌平監督「カンゾー先生」で映画デビュー。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍。近年の主な映画出演作は、「ヤクザと家族 The Family」(2021年、藤井道人監督)、「すばらしき世界」(21年、西川美和監督)など。公開待機作に「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(23年、内田英治・片山慎三監督)、「有り、触れた、未来」(23年、山本透監督)。(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/石邑麻由 スタイリスト/吉田幸弘)

 1998年に「カンゾー先生」(今村昌平監督)で映画デビューした北村有起哉さん。その約4年後、映画やテレビドラマ、舞台など仕事が次々に舞い込むようになり、「これでアルバイト生活からも卒業できるかな」と思っていた矢先、舞台の稽古初日でアキレス腱を切ってしまった。三つの仕事が同時並行的に始まるタイミングで、全部の仕事を諦めざるを得なくなった。

【写真】北村有起哉さんが探偵を演じた「終末の探偵」の場面カットはこちら

「そうしたら、すべての作品の代役が翌日か翌々日ぐらいに決まって(苦笑)。当時は主に舞台の仕事が多かったんですが、2年ぐらい走りっぱなしだったんです。そうしたら、いきなりアキレス腱がプツッと切れた。誰かに、『お前ちょっと休め』って言われた気がしました」

 1年弱ほどは現場には復帰できなかったが、芝居から距離を置いたことによる気づきもあった。

「アキレス腱を切ったのは、急に環境が変わって、芝居仲間にどう接していいかわからなくなってきた時期でした。『最近すごいじゃん』とか言われて、でも、そう言われるのに慣れてないから、なんて返したらいいかわからない。『そんなことないっすよ』とかって普通に答えればいいところを、自意識過剰になって、人間が持ち合わせている悪いエネルギーにぐっと引きずり込まれそうになっていた感覚がありました。アキレス腱が切れて、立ち止まることができたんです。しかも、仕事ができないときに限って、市川準さんからのご指名でCMの話をいただいて。『体を動かせないんです』って言ったら、『椅子に座ってるだけだから』と。割といい報酬がいただけてありがたかったです。まさに、『捨てる神あれば拾う神あり』みたいな(笑)」

北村有起哉(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/石邑麻由 スタイリスト/吉田幸弘)
北村有起哉(撮影/写真映像部・高橋奈緒 ヘアメイク/石邑麻由 スタイリスト/吉田幸弘)

■隙のあるおじさんでいたい

 映像では、名バイプレーヤーの印象が強い北村さんが、男も女も惚れるアウトローな探偵を演じた「終末の探偵」が公開される。ギャンブル狂で酒癖は悪いが、困っているヤツは見過ごせない。そんな、どこか昭和の香りがする探偵を、とことんカッコよく演じた。

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