田原総一朗(左)と辻元清美(撮影/写真映像部・東川哲也)
田原総一朗(左)と辻元清美(撮影/写真映像部・東川哲也)

田原:安倍さんは全く辻元さんのことをわかってない。

辻元:わかってない。そこから安倍さんとの対立が始まっています。

田原:安倍内閣が歴代最長となったのは、何が歴代首相と違うのか。

■敵視の安倍内閣 菅、岸田で緩む

辻元:かつての首相は立場は違うけど、尊重しようとか認めようっていう空気はあった。安倍さんはそこはなかったように感じる。自分と同じ考えを持つ人には本当に優しいってお聞きしたけれども、それ以外の人には対照的。憲法に対しても、歴代首相は戦争体験などをふまえて忠実でなきゃいけない、という姿勢だったと思うんです。でも安倍さんは、「憲法を憎んでる」って自分で言ってるわけです。

田原:憲法第9条と自衛隊は明らかに大矛盾している。

辻元:立憲主義というか、絶対に越えてはいけないことの一線みたいなものを平気で踏み外していくところがあった。安保法制だけではなく、国会との向き合い方もそうでした。臨時国会の要求を拒んで、あんなにも国会を開きませんでした。

田原:野党は敵だと思い込んでいた。

辻元:私が安倍さんへの質問回数が一番多かったかもしれない。その後、菅義偉首相に代わって拍子抜けしたのね。予算委員会の空気が全く変わっちゃったんです。安倍内閣では大臣たちも、こちらを“敵視”していたけど、菅さんになったら、大臣たちが「ご苦労さん」って声をかけてきて、昔の自民党に戻った。

田原:今の岸田内閣はどうですか。

辻元:岸田さんなあ。苦労知らずの坊ちゃんだったんかな。

田原:安倍さんだって苦労知らずの坊ちゃんだよ。

辻元:でも岸田さんは、何かもっと輪をかけてというか……。10月の予算委員会で質問したけど、何か岸田さんは“鎧(よろい)”を着てないように見えるんですよ。例えば、旧統一教会の関連団体に関するやりとり。岸田さんを指名して「国際勝共連合は統一教会の関連団体だと思いますか」って聞くと、「関連団体だと思います」って無防備に答える。歴代首相はこれまで「関知しない」との答弁を続けてきた。さらに「関連団体の把握をしなきゃだめですよね」と向けると、「関連団体の把握もいたします」って答弁。政府の役人たちの顔色がサーと変わったんですね。

田原:岸田さんだけじゃなくて周りも悪い。周りがきちんと調べてないんだよ。

(構成/週刊朝日編集部)

週刊朝日  2022年12月16日号

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