AERA 7月12日号より
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 新型コロナウイルスの後遺症が問題になっている。海外では感染者の61%に後遺症が残っていることや、無症状でも2割ほどが後遺症を患っていることなどが報告されている。こうした傾向は、日本国内の調査でも明らかになってきた。AERA 2021年7月12日号から。

【図】米国の新型コロナウイルスの後遺症の割合はこちら

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 国内でも、若い感染者に後遺症が生じている。東京都が都立病院などに設置している「コロナ後遺症相談窓口」では、5月末までに寄せられた519件の相談のうち約4割が30代以下からだった。

 症状のうち、時間の経過とともに解消していく傾向の強いものと、残りやすいもののあることが、厚生労働省の研究班(代表=福永興壱・慶応義塾大学教授)の調査でわかってきた。同班が国内で昨年1月~今年2月に新型コロナウイルス感染症で入院した患者522人について調べた中間報告によると、発熱や咳、痰、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛みなどは時間の経過とともに解消していく傾向がみられた。

■肺機能と筋力の低下

 一方、疲労感や倦怠感は、診断から退院までの間に感じた人が61%いたが、診断の3カ月後や半年後にもまだ21%いた。同様に、半年後にも当初感じた人の3割以上に残る、長引きやすい傾向のある症状は、息苦しさや筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下、脱毛だった。

 別の厚労省の研究班(代表=横山彰仁・高知大学教授)の調査では、新型コロナウイルスによって肺炎が起きて入院した患者の中では、症状が重かった人ほど退院後も肺の機能が低下したままであることが明らかになっている。研究班は6月、昨年9月以降に入院した患者512人について、退院から3カ月後に実施した肺の検査結果などに関する中間報告を発表した。512人のうち酸素投与が必要なかった「中等症1」は125人、酸素投与が必要だった「中等症2」は313人、人工呼吸器の必要だった「重症」は74人いた。退院3カ月後に、肺機能の検査やCT検査などを受けてもらった。

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