就活市場は2011年と2020年の10年間で大きく変わった。AERA7月12日号では、大学通信の協力を得て、全国27大学の11年卒から20年卒までの「10年」の就職者数を調査。対象となったのは、日経225などの有名企業を中心とした400社。調査でわかったのは、関西にキャンパスを構える大学が大きく伸ばしている点だ。いま最も勢いのある大学はどこか。
【東大、京大、早慶MARCH…27大学別「10年間」で就職者数が増減した企業リスト!】
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学生と大学、そして卒業生までが一丸となる「学縁」が持つ力は強い。関西大学では、数年前からOB・OGとのつながりを深めようと模索してきた。
「他大学が20年近くかけて卒業生との組織づくりをしてきた一方で、関大はというと属人的なつながりにとどまっていることが課題でした」
そう振り返るのは、キャリアセンター事務長の伊藤邦典さんだ。
卒業生とのつながりが深まれば、学生の就活への意欲もより高まるのではないか──そう考え、卒業生によるキャリアアドバイザー制度を動かし始めた。
受講者数2年で2倍以上
関大の有名企業400社への就職者数の伸び率は、3位の1.75倍。この10年間で大和ハウス工業やニトリ、富士通、住友生命保険などに就職した学生が増えていることもわかる。
「3万人を超える学生がいるなかで、個別フォローを積極的に行ってきました。14年から就活対策講座の組み替えを始め、18年度から一新。6千人弱だった年間受講者数は2年で2倍以上になりました」(伊藤さん)
学生が就活に目的意識を持てるよう、学内説明会もテコ入れした。ただ有名企業を呼ぶのではなく、「SDGsに力を入れている」「世界に通ずる技術」などのテーマを設定。参加企業数は減るが、学生の興味関心は高まっているという。
「外」とのつながりを強化する大学もあれば、「内」の連携を強固にする大学もある。
京都、大阪、滋賀にキャンパスを構える立命館大学では、16年にキャリアセンターの予算を学部で使えるようにする「キャリア形成支援充実費」を取り入れた。すると、学内での就活への向き合い方が変わり始めた。