コロナ禍、大学受験改革など不透明な状況から不安が付きまとう中学受験。この時代の「新常識」を収集して、志望校選びや本番の試験に臨まなければならない。AERA 2021年7月12日号から。
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わが子のタイプを考えての選択ならいいが、保護者が「安心感」を得るために付属校を選ぶ風潮は考えものだとスタジオキャンパス代表の矢野耕平さんはくぎを刺す。例えば、立教池袋中学校に入ったとしよう。途中で「医師になりたい」と考えるようになったらどうするか。立教大学に医学部はない。立教池袋は、偏差値58(四谷大塚偏差値)の難関校だが、高校の途中で突然外部受験を目指そうと思い立っても、カリキュラムの異なる進学校出身者に学力差をつけられていて、並大抵の努力では太刀打ちできないだろう。
「難関私大付属校に入るだけの力量があれば、大学受験でさらに上位の大学を狙うのも可能なのに、中学受験の時点で大学を決めてしまうのか……実にもったいないと思うケースを少なからず見てきました。親の不安から安易に付属校を選んで子どもの進路を早々と狭めてしまうと、後悔しかねません」
では、具体的にどう学校選びをしたらいいのだろうか。
中学受験を考えたとき、親として正直一番気になるのは大学合格実績かもしれない。「早慶合格者○○人」などと掲げられた数字に目を奪われがちだが、公表される「大学合格実績」には、実はカラクリがある。
優秀な生徒は一人で「商学部、経済学部、法学部」など複数学部に合格することがあるが、それらを全てカウントして合格実績数に繰り込んでいるケースが多々あるのだ。学校によっては浪人生まで含めているところもある。ウソではないが、あたかも優秀な生徒が多く在籍しているように見えてしまう。学校の実力を知るには「現役進学実数」をきちんと見る必要がある。
■平日に在校生を観察
「現役進学実数の一覧表では、その学校での成績が真ん中くらいの子が、どのレベルの大学に現役進学したかに着目しましょう。その学校の『進学校』としての実力がわかります」