「それはたぶん、ありえないと思います。避難所として内部をパーテーションで区切って、さらにコロナ対策もしなければならないので、同時並行で行うのは無理と考えています」(西村さん)
■台風の場合、通過前後のみ避難所に
ワクチン接種会場を避難所とする場合、2パターンを想定しているという。
一つは、台風の場合。進路が予測できるため、あらかじめ災害に備えやすい。
「台風が通過し、どうしても避難所を開かなければならない場合は、その2日間だけは避難所として開きますが、その前後は、ワクチン接種会場として使われると思います」(同)
もう一つは、昨年の豪雨災害みたいなことが突然起こって、長期避難が必要になる場合。その際は「避難所優先になる」と西村さん。
ただし、市内全域で長期間避難が必要になることは、熊本地震並みの災害以外はまずないと想定する。
「本市はエリアが広いということもあって、避難場所の数は約110カ所と、かなり多い。雨が集中して降っている地区の避難所は全部開きますが、その他の地区については、中核の避難所しか開かない。本年度からそういう運用をしていますので、必ずしもワクチン接種会場とかぶる、わけではありません」
ちなみに、ワクチンは保健センター内の冷凍庫に保管されており、災害などによる停電に備えて無停電電源装置が設置され、約10時間、冷凍庫を稼働できるという。
■水害への危機意識が高い東京・墨田区
東京は、どうか。
東京都の東に位置する江東区は、隅田川と荒川に挟まれた地域にあり、「海抜ゼロメートル地帯」が広がる。そのため、水害への危機意識が高い。
区内にはワクチンの集団接種会場がスポーツ施設を中心に7カ所が設けられ、そのうち6カ所が災害時の自主避難施設に指定されている。これは、台風などで住宅の浸水が事前に懸念される場合、自主的な避難を希望する住民を受け入れる施設で、区が避難指示を出す前の段階で開設される。