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気象庁は9日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態であるとみられ、今後、秋にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています。

6月の実況

6月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近く、差は−0.1℃でした。太平洋赤道域の海面水温は東部で平年より低かったものの、5月と比べて負偏差の値が小さくなりました。海洋表層の水温は西部から中部にかけて平年より高く、東部では平年並みでした。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は不活発でしたが、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年並みでした。このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態とみられます。

今後の見通し

太平洋赤道域の西部の海洋表層には暖水が見られ、今後東進して東部の海面水温の上昇に寄与するが一時的と予測されます。エルニーニョ予測モデルは、太平洋赤道域の西部と中部での弱い東風偏差は持続するものの、エルニーニョ監視海域の海面水温は夏から秋にかけて基準値に近い値で推移すると予測しています。以上のことから、今後、秋にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています(70 %)。

西太平洋熱帯域 及び インド洋熱帯域の状況

• 西太平洋熱帯域:6月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、秋にかけて概ね基準値に近い値で推移すると予測されます。

• インド洋熱帯域:6月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、秋にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。

日本の天候 秋にかけて どうなる?

過去の統計によりますと、エルニーニョ現象発生時、日本での天候の特徴は、夏(6月~8月)の平均気温は、西日本で平年より低い傾向、北日本で平年並みか低い傾向です。また、夏(6月~8月)の降水量は、西日本日本海側で平年より多い傾向です。そして、秋(9月~11月)の平均気温は、西日本・沖縄・奄美で平年より低い傾向、北・東日本で平年並みか低い傾向です。秋(9月~11月)の降水量は、特徴がみられません。

一方、ラニーニャ現象発生時、日本では、夏(6月~8月)や秋(9月~11月)の平均気温には、特徴がみられません。降水量は、夏(6月~8月)は沖縄・奄美で平年より多い傾向ですが、秋(9月~11月)は、特徴がみられません。

なお、今年の秋にかけては、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない、平常の状態が続く可能性が高いので、エルニーニョ現象やラニーニャ現象による天候の偏りは、あまり見られない見込みです。