481社の創業にたずさわったという渋沢栄一(渋沢栄一記念館提供)
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渋沢健さん(提供)
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 NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公で「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一。渋沢家五代目の渋沢健氏が衝撃を受けたご先祖様の言葉、代々伝わる家訓を綴ります。

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 渋沢栄一のトレードマークである「論語と算盤」は、1916年(大正5年)に出版された講演集であり、本人の想いが、今から100年以上前からの言葉として残っています。最近は「現代訳」、「あらすじ」、「超約」など昔の硬い文章が、かなり柔らかく表現されているものもありますので、是非とも手に持ってください。

 この「論語と算盤」の読者の仲間の一人が、現在、全世界の野球ファンから脚光を浴びている大谷翔平選手です。今から5年ぐらい前のことですが、大谷選手をスカウトした方をプライベートでお会いする機会がありました。その当時、大谷選手は日本ハムファイターズに所属しており、4年ぶりのリーグ優勝達成に多く貢献した頃です。

 大谷選手は高校時代からマンダラートという目標を達成するための発想を図式化した表をつくっていました。(「大谷翔平」「マンダラート」と検索すると、その図表が色々なところで紹介されています)

 9X9のマスで構成されているマンダラートの真ん中に目標を置きますが、高校一年の大谷翔平は「ドラフト1位8球団」と書いています。それから、その目標を達成するための8つの要素が囲んでいます。例えば「スピード160キロ出す」です。そして、その要素が目標となり、それを達成するために必要な8つの要素で囲みます。例えば「腰回りを鍛える」です。

 大谷選手が日ハムに入団した後もマンダラートを使用していて、その写メをスカウトの方が見せてくださいました。すでにプロの野球選手になっていたので、真ん中の目標が変わっていました。「大リーグを目指す」です。

 そして、その目標を達成する8つの要素の一つであった「人間性」を達成する要素のマスの中に書いてあった内容が目を引きました。「論語と算盤を読む」でした。

 なぜ、平成生まれのプロの野球選手が明治時代に活躍した実業家の想いに感心を持ち、それが自分の目標達成の要素になるかと思ったのか。かなり驚きました。

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渋沢健

渋沢健

渋沢健 シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役、コモンズ投信株式会社取締役会長。経済同友会幹事、UNDP SDG Impact 企画運営委員会委員、等。渋沢栄一の玄孫。幼少期から大学卒業まで米国育ち、40歳に独立したときに栄一の思想と出会う。

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