これに対し、受注した業者が岸氏の発言は虚偽だとして、代理人弁護士を立てて、TBSと岸氏に抗議する事態に発展した。こうした過激な岸氏の発言について同期の経産省職員は「自らの頭の良さに自信があり、自分の考えがすべて正しいという意識が強い」と評した。
岸氏の起用にはどんな狙いがあったのか。岸氏を知る政治ジャーナリストは「菅政権にとって『改革』は生命線。竹中氏の元で、規制改革に取り組んだ岸氏を取り込むことで、改革推進のイメージを示したかったのではないか」と推測する。
一方、前出の政府関係者は「都議選以降、政府与党からの批判が高まり、総理は孤立している。竹中氏やそのグループにいる数少ない仲間で周りを固めたかったのではないか」と語った。国家が揺らぐと、権力者の信頼を集める配下が側近政治に走るのは世の常。しかし一部の側近ばかりではなく、国民の幅広い声が菅首相の耳に届くことを願うばかりだ。
(渡部俊輔)