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新型コロナウイルスと東京五輪・パラリンピックで失政が続き、支持率も低迷し、もはやレームダックとの声も上がる菅義偉首相。人気浮揚でも狙ったのか、7月9日に経済産業省の元官僚でテレビコメンテーターとして活躍する岸博幸・慶応大大学院教授を内閣官房参与にすると発表した。
5月に問題発言で辞任した高橋洋一嘉悦大教授の事実上の後任となるが、この決定にある政府関係者はため息交じりにこう話す。
「高橋氏に続き、また竹中平蔵氏の影が見えてしまう。総理には竹中グループ以外に人脈がないんでしょうか」
岸氏と言えば、小泉純一郎政権時代、竹中総務相の秘書官を務めたことで知られている。菅首相は先月26日に岸氏、翌27日に竹中氏と相次いで面会しており、決定に竹中氏が関与した可能性は高そうだ。
ただ、折しも五輪の無観客と、東京都に4度目の緊急事態宣言を発令することが決まったこの時期。
政府関係者は「岸氏の専門分野である政府の規制改革は今、コロナで止まっている。このタイミングで参与に就任させる必要があったのか」と首をかしげた。
岸氏は1986年に一橋大学経済学部を卒業後、旧通産省に入省。2001年に竹中経済再生担当相(当時)の補佐官になると、その後は金融担当相補佐官(02年)、郵政民営化担当相秘書官(04年)、総務相秘書官(05年)と、小泉政権下で閣僚を務める竹中氏を一貫して支えてきた。
経産省時代の岸氏の同期は「同期の中でも極めて優秀だった。頭の回転が早く、いつかは経産省を出て研究職などに進むのではないかと言われていた」と語った。
06年に退官すると、歯に衣着せぬ物言いとわかりやすい経済解説で、情報、バラエティー番組で人気を博すようになった岸氏。しかし、その発言が物議を醸したのは昨年のアベノマスク騒動でのこと。
20年5月にTBS系列の情報番組に出演した岸氏は、アベノマスクを受注した業者が「(受注できたのは)政府の人間とつながりがあったからだと思う」とコメント。