「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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皆さんは11月にトイレの日が二つあることをご存じでしょうか? 11月10日のイイトイレの「トイレの日」と、11月19日の世界トイレデーです。
ローソンではこの11月をトイレ美観月間として清掃を強化。また、同15日から全国の店舗のトイレ扉部分にQRコード付きのアートステッカーを貼り、トイレの大切さと、ご使用のお客様と清掃をされているお店の皆さんに感謝を伝える動画を配信しています。また、同18日から東京都と神奈川県の3店舗のトイレで「ありがとう」をテーマにした「アートトイレ」の展開も始めました。ステッカーとアートトイレのデザインは福祉施設「PICFA」のアーティストの皆さんに描いていただいています。
ローソンは、1997年にコンビニチェーンで初めてトイレを開放し、今では1日に約100万人の方にご利用いただいています。また、大災害で帰宅困難者が発生したときには、コンビニ、そのトイレも「マチのインフラ」として重要な役割を担います。
コロナの当初、加盟店のみなさんから「トイレの開放による感染リスクが不安」という声があがり、感染対策でいったんはトイレの開放を取りやめたことがあります。しかし「それはとても困る」というご意見もたくさんいただきました。その時はマチの暮らしを支えてくれているトラックドライバーの皆さんや、外出中のトイレに不安を抱えている方々などからも、コンビニでトイレが利用できることの大切さをご指摘いただき、その後、再びトイレをお使い頂けるようにしました。
私たちコンビニが皆さんの日常の中にしっかりと浸透しているという象徴の一つがトイレかもしれません。感染防止を徹底しながらも、日常時でも有事でも常に、皆様方に寄り添う存在であり続けなくてはならないと、思いを新たにしています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長