変異株への効果は? (c)朝日新聞社
変異株への効果は? (c)朝日新聞社
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 2回目の接種を終える人が徐々に増えている。だが、気になるのは新型コロナウイルスワクチンの効果の持続性だ。インフルエンザワクチンのように、毎年、打たなくてはいけなくなるのか。3回目も打たなくてはいけないのか。こうした疑問を専門家に取材した。

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 供給の遅れなどが新たな問題となっている新型コロナウイルスワクチン。それでも国内では高齢者を中心に約2千万人が2回の接種を終え、1日あたり80万人以上がワクチンを接種している。

 接種を終えた人はまずひと安心したいところだが、気になるのが「この効果はいつまで続くの?」という点だろう。

「接種による感染予防や発症予防、重症化予防の効果については、日々多くの報告が国内外から出ています。効果が持続する期間がどれくらいになるかは、まだ世界的に検証している段階です」

 こう話すのは、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの一員である和田耕治さん(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)だ。その上で、「mRNAのワクチンに関しては、免疫効果は1年ぐらいはあることがわかっています」と述べる。

 実際のところ、感染を一定期間、予防する効果があることを示唆するデータが海外から得られている。それが6月30日に「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)」というアメリカの医学雑誌に投稿された論文だ。

 これは、3975人の医療従事者などを2020年12月14日から21年4月10日まで追跡調査し、ファイザー社かモデルナ社のワクチンを打った群(3179人)と、打っていない群(796人)で、新型コロナへの感染状況をみたもの。

 追跡期間中にPCR検査で新型コロナウイルスが検出されたのが、204人。うち、2回接種終了群は5人、1回接種終了群は11人、未接種群は156人だった。感染予防効果は2回接種群で91%、感染したとしても罹患期間はワクチン接種群のほうが短く、排出するウイルスのRNA量も低いことがわかった。

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