また親の方や先生がこの記事を読んでいたら、お願いしたいことがあります。小学生の不登校で周囲が心配するのは「将来」です。数日間、学校を休んでも、将来には大きな影響を及ぼさないでしょう。それでも学校を休むことを周囲が心配するのは、「一度休めば、この先もずっと続くのでは」と不安に思うからです。

 小学生の子を持つ30代の母親は「不登校なんて許したら後戻りができなくなる」とも語ってくれました。しかし「将来」よりも「今」を心配してほしいと思っています。子どもが今、苦しんでいることに目を向けて、幸せになるためには、どうすべきかを考えてほしいのです。小学生の際に不登校になっても、会社員や公務員になった人もたくさんいます。将来を見据えるあまりに「今」を犠牲にしないよう、重ねてお願いいたします。

 一方、小学生の不登校は各家庭の対応だけではカバーできません。国による不登校の受け皿の整備や支援は急務です。少なくとも公的な機関である教育支援センターが「小学生の不登校は対象ではない」と断るのは変えていただきたいと思っています。(文/石井志昂)

※「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」より

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

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