「若い人も接種対象になったのは、治験を行った結果、効果と安全性が確かめられたからです。ファイザー製に関しては、子どもに打つ上での危険性は確認されていません。集団免疫効果によって他の人たちへの感染を防ぐためにも、子どもも接種するべきと考えています」
また、厚労省はモデルナのワクチンも、対象を12歳以上に引き下げる方針を固めた。
コロナウイルスは、集団免疫を獲得するのに人口の6~7割の接種率が必要と考えられている。妊婦への接種は大丈夫なのか。胎児への影響を心配する人も少なくない。また、接種によって不妊症になるというデマを聞くと、心配になる人もいる。川村医師は、前向きに考えてほしいと言う。
「妊婦や授乳中の母親が、ワクチン接種によって、接種していない人と比較し胎児や自身に影響が出るというデータはありません。ただ、ワクチンという異物を健康な人の体内に入れるわけですから、母体や胎児の状況を評価できるかかりつけの産科で接種するのが望ましいでしょう」
無論、なかにはワクチンを打ちたくない人や、持病を抱え医学的に打てない人もいる。
川村医師は、ワクチン接種は強制するものでもされるものでもなく、打たないことで差別や偏見にさらされ不利益を被ることもあってはいけないと強調する。そしてこう続ける。
「ワクチンで防げる病気があり、そのワクチンを打てる環境にあるのにワクチンを打たないのは、もったいないと言えます。ワクチンの目的は一人でも多くの命を救うこと。大人も子どもも含め接種率が高まることは、自分だけでなく、社会全体を守ることになります」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2021年7月26日号より抜粋
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