日本では離婚後は単独親権になると法律で定められている。夫婦で親権を争うケースも多いが、そのうち約9割は母親が親権を持つ。一方で、海外では多くの国が共同親権を認めており、日本でも導入に向けた議論が始まっている。
2016年9月に結婚した福原は、夫の住む台湾に移住し、翌17年には長女、19年には長男をもうけた。結婚後も夫婦で仲むつまじい姿を披露していたのだが、今年3月に女性週刊誌が福原が日本で年下男性と“不倫お泊まりデート”をしていたと報道。一方で、別の週刊誌は夫の江の「モラハラ疑惑」を報じるなど、泥沼化の様相をみせていた。
夫婦の内実は異なるが、妻に不倫疑惑、夫にはDVの疑いという点だけみれば、冒頭のKさんと同じようなケースともいえる。
だが、Kさんは離婚まで長期化したうえに親権は母親、月一回の面会しか認められなかった一方で、共同親権制度がある台湾に住む福原元夫妻は、離婚後も夫婦で子どもを養育することでスピード決着した。
日本と台湾の差が如実に表れているが、共同親権であれば、福原元夫妻が記したように「子供たちへの影響を減らすこと」は可能なのだろうか。
趨勢法律事務所(台北)の代表弁護士である徐崧博氏に台湾の離婚事情について聞いた。
――日本では、離婚届にお互い押印し、サインすることで、成立する協議離婚が全体の約9割です。台湾はどうですか。
お互いにもめることがなければ、協議離婚が主流です。離婚届に2人がサインし、判を押して提出すれば離婚が成立します。一方、もめれば裁判や調停での離婚となります。裁判離婚になるとお互い、主張の応酬となり、何年もかかってしまう。泥沼化することが珍しくないという点でも日本と変わりません。
日本と台湾の違いは、共同親権がある点です。台湾の共同親権の制度は1996年の法改正で完備されました。それ以降、協議離婚、裁判離婚を問わず、共同親権という選択肢はよく選ばれます。もちろん、かなりもめていれば双方が単独親権を主張したりしますが。