13年ぶりに五輪競技に復活したソフトボール。次回のパリ五輪では再び競技から外れるため、東京五輪にかける選手や関係者らの思いは強い。元日本代表監督・宇津木妙子さん(68)と北京五輪金メダルメンバー・馬渕智子さん(39)が大会前、オンラインで五輪秘話などを語り合った。AERA 2021年8月2日号の記事を紹介する。
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馬渕:日本代表主将の山田(恵里)選手(37)は日立時代のチームメートですが、アテネの最終予選の決勝で、当時の監督だった宇津木さんから私は代打のチャンスをもらったけどボテボテの内野安打。そのあと山田がサヨナラスリーラン。代表落ちして「あ、この差なんだな」と感じました。
宇津木:マブは協調性もあってすごくいい子。でも、いい子の集団じゃ勝てない。上野(由岐子・39)や山田みたいに自分を出す選手がここぞというときに力を発揮する。マブはアテネの選考落ちで殻が破れたんだね。
馬渕:代表落ちした後、リーグ戦で宇津木さんに会ったとき、「これから期待しているから頑張れ」と言ってもらえたことで、ここで終わっちゃダメなんだと思った。あのままアテネのメンバーに入っていても打席で足が震えてしまっていたと思います。
■全力プレー期待したい
──3大会ぶりに五輪競技として復活しますが、次回パリ五輪では、除外が決まっています。
宇津木:五輪競技を外され、「復活させないと」と思って09年から国内外で普及活動をしてきました。アフリカやヨーロッパなどを回って、野球とソフトはメジャーじゃないんだと実感しました。
西アフリカのガンビアで野球教室を開き、10年経ったおととしにもう一度行ったとき、青年が「僕のことわかるか」と声をかけてきたんです。10歳だった子が20歳になって指導者になっていた。寄付したバットをボロボロになるまで使ってくれていた。感激だよね。地道なことだけど、そうやって種を蒔いていくしかない。