日も暮れて、築地に戻った。昼にチェックしていたホテル前に行くと、非常階段下に座り、首から身分証を下げた男性2人が、身を寄せるように小さくなってたばこを吸っている。近づくと警戒心いっぱいの視線を向けてくる。身分を明かして話しかけるとホッとした表情で、オーストリアとドイツのメディア関係者だと明かしてくれた。

「迷惑をかけずに外に出られるのはここくらい。ホテルの部屋は狭くて、天井も低い。小さく縮こまらないと風呂にも入れない」と笑うのは2メートルはあろうかというドイツ人。

 これまで何度も来日し日本食も大好きだというが、今回は連日コンビニ弁当とデリバリー。オーストリアの男性は、ホテルの狭さ以上に悲しいことがあると言う。

「ルールが厳しいのは仕方ないよ、コロナだしね。14日間は外出せずに我慢するのは当然。ただ、悲しいのは、街の人たちが僕らのことをネガティブな目で見ていることだね。僕らは毎日PCR検査もするし、感染対策も万全なのに、まるで危ない人のように思われているんだ」

 別のホテルの前には、スマホを見ながら夕食のデリバリーを待つ、ノルウェーのメディア関係者の女性がいた。

「ここにはいろんな国のメディア関係者が泊まっているけど、みんなバスでホテルと取材場所を往復するだけよ。コロナ禍でノルウェーでも同じような生活だから慣れちゃったわ。行動制限が厳しいとは思わない。食事もデリバリーやテイクアウトばかりだけど十分おいしいわよ。今日はギョーザを頼んだの」

 ルール違反外国人を探しているはずなのに、ルールを厳守するマジメ外国人にしか出会えない。しかもその境遇を聞くほどに、ちょっとかわいそうな気持ちにさえなってしまう。

 特に話題になっている、MPC内での食事。提供場所の一つであるフードコートでは、最も安いカレーでも千円(税込み、以下同じ)。記者も食べてみたが、具はほとんどなくてレトルトカレーのような味だ。ネギトロ鉄火丼は1600円で、丼に盛られたマグロの刺し身は3切れ。そこに釜揚げしらすと少しのネギトロが添えられている。

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