別のフロアのレストランでは、特製ピザが1900円、東京バーガー1600円、金メダルバーガー1600円などと書かれている。ハンバーガーはパンが冷たく、肉も味があまりしない。フランスの記者はツイッターに「ゴム肉、冷たいパン、汚いプレゼンテーション。すべて1600円」などと投稿したほどだ。
いずれもドリンク代は別で、コーラが280円、水が180円と外の価格の1.7倍。これには外国メディアの記者も「高いよ!」と驚いていた。
2000年のシドニー大会から五輪取材をしている日本の記者は、「北京大会では北京ダックが数百円だったし、他の大会でもスポンサーになっている飲料メーカーの商品は取り放題でした。コロナという事情があったにせよ、これでは『おもてなし』どころか料理のレベルは過去最悪かもしれない」と話した。
選手村に入ったロシアチームの部屋には、テレビも冷蔵庫もなかったという報道もあった。
一方、大会組織委員会は、外国のメディア関係者らが都内の観光地を訪れている姿が報じられたことなどを受け、行動制限を強化する方針を打ち出した。開幕前日の22日には、ルール違反した数人について、IOCが発行する資格認定証の効力を1日停止したことを明らかにした。
築地周辺で酒を出しているという店を見つけて聞くと「先ほどまで五輪関係の外国人の方が食事をしていましたよ」と言う。ルール違反をしている外国人関係者がいることもたしかなようだ。
お台場にも多くのメディア関係者が宿泊していると聞いて行ってみた。商業施設のフードコートでハンバーガーを頬張っている外国人を見つけた。
「ブラジルから来たテレビの技術者だよ。ホテルは、電車で数十分のところにある」と言う。禁止されている外食と公共交通機関への乗車。ルール違反者かと思いきや、「僕はもう1カ月以上前に来日しているから移動できるんだ。もちろん最初の14日間はコンビニ弁当やウーバーイーツの毎日だったけどね」。
この日はMPCの帰りに、ブラジルで待つ身重の妻へのお土産に、ぬいぐるみを買いに来た。そのついでに食事をしていたところだという。
「本当は焼きそばが食べたかったんだけど、英語メニューがなくてわからないから、仕方なくハンバーガーさ」
やっぱりわびしい。(本誌・鈴木裕也、大谷百合絵、西岡千史)
※週刊朝日 2021年8月6日号