コピー機の例でも、単純に頼まれるだけでは動きづらいですが、「自分は今、困っている状態なのだ」という理由を提示されると、「それなら助けなければ」という考えが誘発されやすいのです。

 困っている状態を助けるという行為は、「自分は依頼人にとって重要な存在になる」という感情に裏打ちされている気がします。

 つまり理由は、「自己重要感」を刺激するトリガーになるのではないでしょうか。
 
 最初の話に戻りますが、子どもに、「なんで宿題しなきゃいけないの?」と言われたら、適当にでもいいので理由をあげるべきなのです。

 一番良くないのは、カーネギーの本にもありますが、「命令してしまうこと」でしょう。「そんなこと考えずにさっさとやりなさい」なんて言われて、宿題をやろうと思う子なんていません。

 とりあえずは、根本的な「勉強する理由」まで深く考えて答えなくても、適当な理由をつけてしまえば、人は動かされてしまうのです。

■「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら

 私は今のところ、「なんで勉強をしなきゃいけないの?」と理由を聞かれたら、「いっぱい勉強して賢くなって、ブラックホールの謎を解いて教えてほしいから」と答えています。

 私も息子も宇宙が好きですし、誰も解けていない謎を解くことができたら、それは誇り高い気持ちになるでしょう。母親からも他者からも「すごいと思われたい」という子どもの欲求を刺激するのです。

 ほかにも、「お勉強するとお金持ちになれるから、大きな家を買って、一緒に住ませてね!」なんて、期待をかけています。勉強すればお金持ちになれるかどうかなんて、もちろん確約されているわけではありませんし、「子どもの家に寄生する気でどうするの」と突っ込まれたりもします。

 ただ、それがウソでも本当でも、どれだけ適当でも、それが理由となって今現在、息子がプラスの方向に向かって動いてくれるならば、それがベストな回答なのです。

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