うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。
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人が動くためのモチベーションとして、「理由」の存在は、なかなか大切なものです。
勉強や宿題をするにしても、ほとんどの子は「なんでしなくちゃいけないんだろう」と「理由」がわからず、疑問に思っていることでしょう。
実際、私も学生時代は、ずっと同じようなことを思っていました。「なんで勉強(宿題)しなければいけないの?」と。
そして時は巡り、今まさに小学生の息子も、「なんで宿題なんてやらなきゃいけないの」とブツクサ言っています。
■理由をつけると、譲ってくれる人が急増
ハーバード大学の心理学者エレン・ランガ-氏は、人が行動するためには「理由の存在」が重要であることを、こんな実験で証明しました。
まず、コピー機を使っている人に向かって、仕掛け人が「5枚だけなので先にコピーさせてください」と頼みます。このとき、お願いするだけで特に理由を付け加えなかったところ、60%の人が先を譲ってくれました。
その後、「5枚だけなので先にコピーさせてください」という言葉に、「急いでいるのです」という、理由を付け加えてみました。するとその結果、なんと94%の人が、要求を受け入れてくれたのです。
「急いでいるから」というほんの少しの言葉をくっつけただけで、なんと34ポイントも多くの人の心が動き、行動に移してくれたのです。
この実験では、さらに面白いことが証明されました。人を動かしたいときに添える理由は、わりとなんだっていい、ということです。
エレン・ランガー氏はこの実験で、「5枚だけなので先にコピーさせてください」というお願いに加えて、「コピーをしたいのです」という理由を付け加えてみました。