高嶋:アハハハ。息子は「ママさえいれば、どこにいてもやっていける」って言ってますね。夫と結婚する前、共通の友達と一緒に香港に行って、よく当たるという風水の方にみてもらったんです。夫が先にみてもらったら、「あなたはびっくりするぐらい気の強い人と結婚します」。次に私の番になったら、「あなたは気が強すぎる。昔の中国だったら処刑されてます」って(笑)。

林:ひぇ~! 中国には、気が強くて嫉妬心も強い女性がいましたからね。則天武后とか。

高嶋:私、笑っちゃって。でも、自分は気が強いと思ったことないんですよ。こう見えて、言いたいことの半分も言えてないんです。

林:あ、そうなの? うちなんか夫が怒ってばっかりいて、言い返したらケンカになるから、右から左に聞き流しているうちに、私、すごく人間ができてきましたよ。

高嶋:うちの夫はなんにも言わないです。私の食べかけを見て、「ちーちゃん、もういらないの?」って片付けてくれたり、「コーヒー!」って言ったら、「どうぞ」って持ってきてくれたり(笑)。

林:まあ、すごい! このあいだうちの娘とホテルニューオータニを歩いてたら、高嶋家ご一家にお会いしたじゃないですか。そうしたら娘がしみじみと「やっぱり苦労してるんだね。ご主人、白髪がいっぱいあったよ」って(笑)。

高嶋:(テーブルをたたいて)ア~ハッハ。笑わせないで、もう。

林:ご主人、ほんとにいい人。なんで知り合ったんですか。

高嶋:仲のいい友達が「私、結婚する」って言うから、「なんで私より先に結婚するの。新婚家庭に入り浸るわよ。私の相手も見つけて」と言ったら、「わかった。同級生でいい子がいるから」と言って紹介してくれて。「じゃ、この人」って(笑)。

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

高嶋ちさ子(たかしま・ちさこ)/東京都生まれ。6歳でヴァイオリンを始め、桐朋女子高音楽科、桐朋学園大学を経て、1994年、イェール大学音楽学部大学院修士課程アーティスト・ディプロマコースを修了。デビュー後は多彩な演奏活動を続け、年間100本近いコンサートをこなす。「12人のヴァイオリニスト」「Super Cellists」などのプロデュースも手掛ける。テレビやラジオなどでも活躍。近著に『ダーリンの進化論 わが家の仁義ある戦い』(小学館)がある。

>>【後編/力不足だった高嶋ちさ子 ほめない母が「期待以上だった」と言ったワケ】へ続く

週刊朝日  2021年8月6日号より抜粋

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