林:私の口からは言えなかったけど(笑)。お母さま、お亡くなりになったんですね。

高嶋:そうなんです。4年前、平成29年8月29日、「焼き肉の日」に(笑)。実際、焼き肉好きでしたしね。81歳だったと思います。

林:ほんとにすてきで、おきれいな方でしたよね。

高嶋:母がですか? そうだったかなァ(笑)。

林:そうでしたよ。当時珍しい慶応卒で、お美しい方でした。

高嶋:しかし気位が高くて。ほんとはピアニストになりたかった人で、自分がなれなかったから私に夢を託したというタイプです。

林:もうちょっと長生きしてほしかったですよね。

高嶋:ほんとそうです。うちの次男がチェロをやってて、けっこう弾けるんです。それで、このあいだサントリーホールに私が出たときに、次男も出て、母がいちばん好きだった曲を弾いたので「聴かせたかったねえ」って話してたんです。でもまあ、しょうがない。先に死ぬほうが悪いんだから(笑)。

林:お父さまはビートルズのレコードの初代担当ディレクターだった方ですね。お嬢さんとお孫さんの共演、お喜びだったでしょう。

高嶋:そうですね。けど、あんまり役に立たないほうが生き残るんですね。面と向かってそう言ってますけど(笑)。

林:お母さま、ちさ子さんをゆがめずこういう性格に育てたってすごいことだと思う。

高嶋:でも、かなり手こずったらしく、放っておいたらとんでもない子になっちゃうからと、昔で言う八卦見、今で言う占師のところに私を連れていって、「この子をどう育てたらいいでしょうか」ってしょっちゅう相談してました。

林:ちさ子さんのことをなんて言ったんですか、占師の人は。

高嶋:「お母さんだけでなく、誰の言うことも聞かない子です。ただ、一人で生きていくことはできるので、そんなに心配しないで」と言われてたみたいです。

林:ちさ子さんのその性格は誰に似たんですか。

高嶋:いや、私、自分ではごくふつうの、とても一般的な人間だと思っているんですけど。

林:でも、すごくはっきり言うじゃないですか。以前、テレビを見てたら、小学生くらいのちさ子さんの息子さんが、お母さんにあてた手紙を朗読していたんですよ。「僕はお母さんよりコワい人を見たことがない。だからどんなことでも耐えられる」って(笑)。

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