
近年はW杯招致の効果もあって急激に発展してきたが、数年前までは観光インフラも整っておらず、カタールの首都ドーハは、長らく「世界で最も退屈な街」と呼ばれてきた。
それでもW杯が開幕後は、街に少しずつ世界中から人が集まり始めている。W杯のために造られた地下鉄で黄色のシャツを着たエクアドルの応援団と遭遇した。女性のドメニカさんは言った。
「スタジアムもメトロも、すべてが最高。男たちは、酒が自由に飲めないと文句を言っているけど、そんなのはたいした問題じゃない。南米と中東では文化の違いは大きいけど、郷に入っては郷に従えの精神で楽しむわ」
サッカーに関心のなさそうな白装束をまとったカタール人の男性は、そんな彼女たちに興味津々のようだった。カラフルな色のシャツを着たファンやサポーターが、静かだった街を明るく照らしている。
大会は約1カ月続くだけに、今後の変化が楽しみだ。(栗原正夫)
※週刊朝日 2022年12月9日号