林:ああ。顔が似てますね。

みうら:初期のウルトラマンは口元にアルカイックスマイルをたたえてましたし、それに特撮ヒーローの設定自体が、仏教の世界観と同じではないかと思い始めて。これでとっかかりができて、後に、エマニエル夫人も弥勒菩薩に影響を受けているのではないかと……。

林:そう言えば脚の組み方も。

みうら:実際は逆ポーズですけど、半跏思惟(はんかしい)のポーズをとってるし、籐椅子の背もたれが丸くて大きいのも、光背ではないかと。そういう学術的でない発見があったので、これはいけるんじゃないかと友達にずいぶんしゃべりました。でも、「もういいわ」ってなって、どんどん友達をなくすんですよね(笑)。第2期仏像ブームは30歳くらいのときでした。いとうせいこうさんと「見仏記」という企画を始めようと思って、「中央公論」に持ち込んだんです。

林:えっ、「中央公論」に。

みうら:いきなり、仏像の連載をお願いしますって(笑)。だから、たいがいの企画は持ち込みです。

林:思い出したけど、80年代のはじめごろ、「ギャルズライフ」というティーン向けのちょっと過激な雑誌があったじゃないですか。私、「おんな成り上がり講座」を連載してましたが、みうらさんも……。

みうら:そうそう、やっておられましたよね。僕は企画ページのイラストをやらせてもらってたんですが、当時は過激な少女向け雑誌でね。「ギャルズライフ」も問題になって、一度、国会で取り上げられたことがありましたよね。たまたまそのニュースを見てたら、国会議員が「ギャルズライフ」を広げてて、何か言ってました。それがね、なんと僕のイラストのページだったのは驚きましたけど(笑)。

林:あのころは、全体的に過激なことが喜ばれる空気がありましたよね。今は世の中全体の恋愛力や性欲が減り、それにコンプライアンスが重なってきて。たとえば「昔は名門女子大の学生が東大の運動部のマネジャーをやっていた」なんて雑誌に書くと、「これはジェンダー的に許されない」と指摘を受ける。こういう点って、3年前だったら指摘はなかった気がするので、世の中急速に変わっていると感じます。みうらさんが文春で連載なさってる「人生エロエロ」も何か言われたりします?

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