イラストレーターでありながら、エッセイやコラムなどでも活躍する、みうらじゅんさん。作家・林真理子さんとの対談では、仏像ブームの話からお二人が手がけてきた連載の話題に。
【「水玉のパンツでした?(笑)」 みうらじゅんも驚く出会い?】より続く
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林:ご自身がつくった「マイブーム」という言葉が流行語大賞になり、仏像やゆるキャラのブームとか、いろいろ仕掛けていますよね。「一人電通」とおっしゃってるけど、マーケティングなんかしないで、「自分がおもしろがってることをみんなもおもしろがれ」という、ガキ大将が言ってる感じがすごくいいなと(笑)。
みうら:ガキ大将って(笑)。いや、「おもしろい」と思ったものは、自分がめっちゃハマってないと説得力がないじゃないですか。でも、はじめは自分も半信半疑で、好きかどうかもわからないことも多くて(笑)。ある日「天狗がすっごいキテる」って言いだし、頑張って自分を洗脳するんですけど、ぜんぜん自分にすらキテない(笑)。
林:ハハハ。
みうら:なので、天狗にゆかりがあるという山に登ってみたり、天狗祭を見に行ったりと。そのときは特にほしくなかったけど、でっかくて長~い鼻の天狗面を通販で買ったり、仕事場を天狗グッズで埋め尽くしたりと……。
林:そうすると天狗がすごく好きなような気がしてくる?
みうら:ですね(笑)。天狗ノイローゼまで持っていくには、やはり無駄な努力とある程度の無駄遣いが必要で、僕にとってはそれ、投資の意味なんですけど。好きにならざるを得なくなるまで続けます。そうやってようやく、「そこまで言うならちょっと見てやろうか」って思ってもらうという手口です(笑)。
林:仏像ブームなんて、いま完璧に若い人に定着してますよね。
みうら:僕の中で「仏像ブーム」は第2期で、第1期は小学校4年生のときでした。当時は怪獣がすごい好きだったんですが、ある日、京都の東寺の立体曼荼羅を見た瞬間「これは怪獣くらいカッコイイ!」と思って。そのうち、「ウルトラマンは弥勒菩薩である」ということにも気が付いたんです。