18年にUNIVAS設立準備委員会が立ち上がると、さまざまな作業部会がつくられた。
「そこに私も関わりましたが、『スポーツビジネスだけに目を向けるおかしい』という声が上がった。良識ある先生からは『学業成績をもう少し重視してほしい』という意見が出た。選手を引退してからの人生のほうが長いのに、どうやって生きていったらいいのか。そのすべがなかったらダメでしょう、と。さらに、体罰や不祥事の問題などにもきちんと対応できる組織を整えたい、という議論も沸き上がりました」
そうした経緯を経て19年に誕生したUNIVAS。大学スポーツの振興を目指し、「学業の充実」「学生たちの安全・安心の確保」「事業マーケティング」を柱としてスタートした。
■有力大学は加盟せず
現在、220の大学が加盟しているが(21年2月末時点)、日本の大学数が約800であることからすると、それほど多いとは言えない。特に国立大学の3分の2は加盟せず、私立大学でも慶應義塾大、明治大、同志社大、関西学院大など、大学スポーツで存在感のある大学が加盟していない実態がある。
UNIVASは設立時に、『UNIVAS CUP』というのをつくった。これはUNIVAS加盟の32競技団体が開催する大会での順位を点数化して、大学総合ランキングを決める、というものだ。
「いまだに知名度は低く、盛り上がりにも欠ける。スポーツビジネスとしても成立しそうにありません。個々の大学にとっても、例年どおり各競技団体が開催する大会に出場しただけなので、これまでとの違いやメリットをほとんど感じないでしょう」
吉田氏は「最近はメリットを感じないから脱退する大学も出始めていると聞きます」と言う。
「UNIVASは『学業基準の策定・普及』をうたっています。NCAAのように『最低GPA2.0以上とらないとスポーツに参加できない』と、基準を決めたら、明日にでもすぐに実行できるはずなんです。ところが、それさえもまったくできていないのが現状です」